われわれは内部思想闘争をどのように展開すべきなのか  第2回 問題だと思う相手と直接に討論しなければならない

二 組織討議はいかにあるべきか


  1 問題だと思う相手と直接に討論しなければならない

 

 同志黒田をかついだ組織指導者たちの政治主義的ふるまい固有の問題については、ここではふれない。まともにおこなわれた組織論議にはらまれている問題を組織建設論的および認識論的にえぐりだすことが、ここでの課題である。


 組織指導者は、何か問題があると自分が感じている相手である同志にかんして、他の同志からの報告をもとにして自己のうちにつくりだした当該の同志の諸活動や思想性および組織性についての認識をそのままにするかたちで、その同志を批判してはならない。だから、その批判の内容の当該の同志への伝達を他の同志に頼むにとどめてはならない。
 もちろん、組織指導者は、個別的にあるいは組織論議において、さまざまな同志たちから報告をうけて論議するのであるからして、その場でいろいろと聞きだし自己の判断をのべるのは当然のことであり、そうしなければならない。問題は、その場にはいない・組織指導部を構成する同志の組織指導や諸活動にかんして、その場の同志(たち)から批判がだされたり不満や反発が表明されたりしたときのことである。そのときには、組織指導者は、十分に論議して・だされた問題を切開したうえで、問題となった指導的同志と直接に討論しなければならない。その指導的同志の問題は、組織指導部そのものの問題なのだからである。
 直接的なことがらとしても、当該の指導的同志が、自己の組織指導や諸活動にかんして、したがって同時に、自己が指導した同志たちや自己が諸活動をくりひろげた場にかんして、どのように認識しているのかということは、彼に指導された同志たちや彼の諸活動を見聞きした同志たちから報告を聞いただけではわからないのである。聞いた内容は、一方の側からの認識ということになるのである。それを聞くことは重要なことなのであるが、同時に、その指導的同志が諸活動の現実をどのように認識しているのかを、彼自身から聞くことが肝要なのである。
 これは、あたりまえのことである。だが、このあたりまえのことを自己に貫徹するのは大変なのである。


 また、組織指導者に報告し論議した組織成員は、それによって得た内容を錦の御旗にして、自己が批判や不満や反発を抱いている指導的同志にたちむかってはならない。あくまでも彼は、その論議によって得た内容をおのれ自身の主体的な判断にねりあげ、相手の指導的同志と討論しなければならない。これもまた、あたりまえのことである。


 さらに、組織指導者は、自分への批判や不満や反発をもらした同志がいたということを、他の同志から聞いたときに、それによって得た認識をそのままにして、当該の同志を批判してはならない。あるいはまた、組織指導者は、同志から自分への批判を直接にうけたときに、その同志についてこれまで持っていた認識をそのままにし・その認識にもとづいて、その同志を逆に批判してはならない。伝え聞いたのであれ直接に聞いたのであれ、その同志の批判を、その物質的基礎との関係においてふりかえり考察しなければならないのである。その同志の批判を鏡として、自分自身がどのように組織的に論議し指導したのか、ということをふりかえらなければならない。かつてとは異なる〈いま・ここ〉という組織的現実と階級情勢のもとで、自分へのその同志の批判が提起されているのだからである。


 他面では同時に、組織指導者に疑問や批判をもったときには、組織成員は、勇気をふりしぼって、それを提起しなければならない。これはたやすいことではない。だが、そうしなければ、わが反スターリン主義組織を反スターリン主義組織として創造し確立することはできないのである。私は、いま、その拠点をおのれ自身に創造するために、この文章を書いているのである。
       (2020年10月27日   松代秀樹)