戦火につつまれる現代世界
広島・長崎への原爆投下から81年を経た今日、現代世界は東西の両帝国主義による戦火と殺戮の拡大の真っ只中にある。
すでに五年目に入ったロシア帝国主義のウクライナ侵略と米欧の西側帝国主義諸国に支えられたウクライナ・ゼレンスキー政権の軍事的反撃、アメリカ帝国主義に支えられたイスラエル・ネタニヤフ政権のパレスチナ人居住地域(ガザ・ヨルダン川西岸地域)・さらにはヨルダン・シリアの領域への軍事攻撃とイスラエル人入植地の拡大。(パレスチナ当局によると、ガザなどでは既に七万人余が殺された。)さらにはベネズエラに続く、「反米」国家・イランへのアメリカ帝国主義・トランプ政権の軍事攻撃とイラン・イスラム聖職者専制国家の反撃、その泥沼化。
プーチンのロシア帝国主義は、既にウクライナに隣接するベラルーシにも核爆弾の搭載が可能な中距離ミサイルを配備し、ウクライナへの核攻撃の脅しをもかけ続けている。また、アメリカ大統領・トランプは、抗戦を続けるイランイスラム共和国指導部にたいして、〝石器時代に追い返す〟だけでは飽き足らず、〝一つの文明が消失するだろう〟などという〝核恫喝〟をも繰りひろげている。
西側帝国主義の一翼をになう日本帝国主義の高市政権は、その帝国主義的権益を維持・拡大するために、〝海洋進出〟を進める中国帝国主義・習近平政権に対抗して、あくまでも軍事的に対抗し、西太平洋海域における領土・領海のみならず、世界有数を誇る広いEEZ(経済的専管区域)の埋蔵資源・漁業権、さらにはいわゆる「シーレーン」の維持・確保をはかるために、本格的な軍事力の強化と軍需産業の育成、日本の労働者・勤労者・学生を兵士に仕立てる諸策動のために、奔走している。
「非核三原則」の虚構すら破棄するハラを固めた高市政権
八月六日に開催された「原爆死没者慰霊式・平和祈念式」(広島市主催)に出席した首相・高市は、「唯一の戦争被爆国として核兵器のない世界の実現に向けて努力をたゆまず続けていく」と発言した。だが、これほど卑怯な欺瞞的発言はない。被爆者団体などが求める「核兵器禁止条約」への参加は拒否し続け、「核保有国と非保有国の双方が参加するNPT(核兵器不拡散条約)体制の維持・強化」を訴える。だがこれは、日本帝国主義国家がアメリカ帝国主義の〝核の傘〟のもとで東側帝国主義諸国と対峙している現状に頬被りし、〝核保有国と非保有国の橋渡し〟の名の下に、アメリカ帝国主義を中心とする西側帝国主義諸国の核軍事力網の一翼をにない、その強化に突進していることを正当化する詭弁ではないか。
それだけではない。「平和祈念式」において、首相・高市は、「非核三原則を堅持しており」と発言したが、これに対して、「読売新聞」や「日経新聞」は、こぞって「「将来的な堅持」明言せず」として報道した。これは明らかに、高市が日本帝国主義権力者として、「非核三原則」を破棄する意志を固めていることの表現以外のなにものでもない。このことは、防衛大臣・小泉が「核戦力やあらゆる政策をタブーなく議論すべきだ」などと公然と主張していることにも露出している。
そもそも高市は、首相就任前の二〇二二年に「安保三文書」への「非核三原則を堅持する」との記載に反対していたし、自著(二〇二四年)で、〝「持たず、作らず」は良いが、「持ち込ませず」は非現実的〟であるとしていた。二〇二六年の衆議院選挙で圧勝し、「高市一強」などと言われる権力者としての地歩を打ち固めた高市は、今や「非核三原則」を破棄する第一歩を記したのである。
「読売新聞」や「日経新聞」が「「非核三原則」の堅持を明言せず」と報道したのは、首相・高市のこの策動を評価し、国民的コンセンサスを形成しようとしている日本帝国主義ブルジョアジーの総意を代弁するものにほかならない。


日本帝国主義の核武装を許すな!
だが、そもそも「非核三原則」それ自体が、在日米軍による日本への核兵器の持ち込みを隠ぺいする〝イチジクの葉〟だったのである。「日本は、自国で核兵器を保有しない。自国で核兵器を製造しない。外国の核兵器を日本の領土内に持ち込ませない」という「非核三原則」は、「沖縄施政権返還」をめぐって、在沖米軍の核兵器が日本領土内にもちこまれるのではないか、との疑いを沈静化するために、時の佐藤栄作政権がまとった〝隠れ蓑〟なのである。アメリカ帝国主義の太平洋における軍事的「要石」であった沖縄には、中国・北朝鮮・ソ連を攻撃するための核兵器が大量に配備・保存されていた。一九七二年の「沖縄施政権の返還」に際して、在沖米軍の核兵器は、日本政府の施政権下にそのまま組み込まれた。さらには、日米安保条約を法的根拠として、日本各地に設置されている米軍基地群、それらを拠点とする原子力潜水艦や空母、さらにはミサイル駆逐艦などに核兵器が装備されていることは、公然の秘密である。「非核三原則」は、このことを隠蔽するために、歴代の自民党政権が「堅持」してきた〝イチジクの葉〟なのである。
だが、今日の高市政権は、そのような「非核三原則」さえをも、戦時体制づくりの障害としているのである。強力な帝国主義軍隊となった自衛隊と、核武装した米軍との、米軍司令部の指揮のもとでの共同作戦のみならず、自衛隊そのものの核武装さえもが、天皇制軍国主義者たちの選択肢ともなっている。
だがこれは、日本の、そして全世界の労働者階級のかつてない惨禍をもたらすもの以外のなにものでもない。
〝ヒロシマ・ナガサキ〟の蛮行――米ソ角逐の烽火
一九四五年八月に、アメリカ大統領・トルーマンは、日本への原爆の投下を命令した。この行為は、アメリカ帝国主義権力者たちによって、〝アメリカ軍兵士の死を増やさない〟ためだった、として正当化されてきたし、今日も正当化されている。彼らは戦争指導者としてのみずからを、〝戦争を勝利に導いた英雄〟として描くものであったのであるが、それはまったくの虚偽である。
決定的なことは次の点である。
当時、ナチス・ドイツとの「大祖国戦争」に勝利したスターリンのソ連邦が、ヨーロッパで勢力圏を拡大しつつあった。ヤルタ会談(一九四五年二月)で、当時のアメリカ大統領・ルーズベルトは、自国軍の負担を軽減するために、スターリンに「対独戦の勝利後の対日参戦」を約束させたのであったが、四月に死去したルーズベルトに変わってアメリカ大統領の座についたトルーマンは、ポツダム会談(一九四五年七月)でも示されたスターリンの膨張政策に危機意識を抱き、ソ連の対日参戦の直前に、日本帝国主義に決定的打撃を与え、この戦争を終了させることを目論んだ。そのために、完成したばかりの原子爆弾の日本への投下を命令したのである。しかも、その攻撃の矛先は、もはや軍事施設などよりも、日本の労働者たちを大量に殺戮することを主眼とするものであった。その意味では、首都の政権・軍の中枢ではなく、下町の人口密集地域を炎に包んだ大量虐殺・「東京大空襲」と同じである!(日比谷公園に行ってみよ!樹齢百年を超える樹木が多数茂っている。爆弾が落とされなかったからだ!)そして、「国体(天皇制)の護持」を最優先とし、ソ連の仲介での〝和平〟を目論んでいた日本帝国主義の支配層は、ことここに至って「国体護持」の姑息な目論みにもとづいて、「無条件降伏」を受け入れた。彼らはそのために、生かされ、その後も「日本の反共化」のために活用されたのだ!


帝国主義権力者による
一切の戦争政策反対!
帝国主義権力者どもは、その権益を貫徹するために、労働者・学生たちを兵士として駆り立てるだけではない。「敵国」の支配層に圧力をかけるためも、「敵国」の労働者たちをその標的とし平然として殺戮するのである!このことを〝ヒロシマ・ナガサキ〟の悲劇は、今なお、われわれに突きつけている。
高市政権によるいっさいの軍事力増強政策・戦争体制構築の諸攻撃に反対しよう!
公然たる日本の核武装化反対!
いっさいの帝国主義戦争を許さず、プロレタリア・インターナショナリズムに立脚して闘おう!
いっさいの帝国主義国家を打倒するために闘おう!
(二〇二六年八月八日 潮来一郎)










