米軍・イスラエル軍、イランへの航空攻撃を開始しハメネイ師を殺害
二月二八日、トランプのアメリカ軍とネタニヤフのイスラエル軍は、連携してイランに対する軍事攻撃を開始した。戦闘機やミサイルを大量に投入したこの攻撃によって、ほとんど瞬時に二〇〇人以上のイラン人が死亡した、と伝えられている。他方、イラン軍(革命防衛隊)も「報復」と称して、中東各地の米軍基地所在地などへのミサイル・無人機を用いた攻撃を始め、応戦。イラン革命防衛隊は、さらにはペルシャ湾岸の産油国の原油の海上輸送の要路をなすホルムズ海峡の封鎖を実施し、アメリカ帝国主義をはじめとする諸国を揺さぶり牽制しようとしている。
そして攻撃開始からほどなく、トランプもネタニヤフもイランの最高指導者とされるハメネイ師が死亡、イラン革命防衛隊の最高幹部たちもまた死亡したと発表した。(イラン政府もまたハメネイ師が死亡したことを認めた。)

この攻撃は、この間のアメリカとイランのいわゆる「核交渉」がオマーンで継続されるという発表がなされた直後に実施された。イラン近海にアメリカ軍の原子力空母「フォード」が到着し、二つの空母打撃群が勢揃いするのをまって直ちに開始されたものであり、きわめて周到に計画され・準備された攻撃なのである。(中東問題の専門家で慶応大学教授の田中浩一郎が、NHKのTVニュースに登場して、「交渉は見せかけ」であり、軍事攻撃を正当化するための芝居だ、だと明言するほどの茶番である。)――トランプが「攻撃が終わったらすぐさま新政府を樹立せよ!」とイランの人々に呼びかけたことからしても、「イランの核武装を認めない」というのはまったく表向きの理由であり、イランの現政権・イスラム教シーア派の権力を破壊し打倒することを直接的な目的としたものにほからない。
米軍・イスラエル軍のほぼ全土におよぶ激烈な攻撃によって、多くのイランの民衆が、そしてイラン軍の関係者たちが殺戮の渦に巻き込まれつつある。そしてまた「イスラム共和国」の存亡をかけたイラン指導部の必死の反撃によって、イラン軍の兵士たち(軍服を着用させられた労働者や農民たち)もまた敵の攻撃に身をさらし、米・イ軍の餌食とされつつある。そして戦火のさらなる拡大は、中東各地の人々の生命をも脅かすものである。

われわれはこのようなアメリカ・イスラエルとイランのそれぞれの支配階級による戦争を決して許してはならない。アメリカ・イスラエルによるイラン軍事攻撃弾劾!イラン戦争反対!の闘いを断固として推し進めよう!
中東の制圧を目論むアメリカ・イスラエルの暴虐
この攻撃は、「核をもたせない」とか「暴君=ハメネイ師からの解放」とかの目的でなされているものでは決してない。中東地域に残存する反米・反イスラエルの諸勢力の一掃を狙う両国支配層にとって、〝目の上のたんこぶ〟となった「イラン・イスラム共和国」を打倒し、中東地域を制圧すると同時に、中東の石油・天然ガスを完全に掌握することを狙ったものなのである。
既に本年初頭に、トランプのアメリカ帝国主義はベネズエラを軍事的に急襲し、反米の大統領マドゥロを拉致し、世界最大の原油埋蔵量をほこるベネズエラを制圧し、原油の横奪に入っている。
トランプは、「ドンロー主義」を標榜し、西半球を勢力下におくことを宣言していた。だが、「西半球」には属さないイランに対しても、攻撃を開始した。それというのも、アメリカ帝国主義およびその〝分身〟とさえ言えるイスラエルにとって、イランが中東地域における〝最後の敵〟となったからである。
かつて、反米・反イスラエルの諸勢力が形成していた「シーア派三日月地帯」は、シリアのアサド政権の崩壊、パレスティナのハマスの壊滅的敗北、イエメンのフーシ派の衰退によって、残る手強い相手は後ろ盾であった「イラン・イスラム共和国」のみとなった。それに加えてイラン・イスラム共和国は、アメリカ帝国主義との対抗関係においては、中国帝国主義・ロシア帝国主義とも親和的なのであって、アメリカ帝国主義・トランプ政権は、盟友たるイスラエルのネタニヤフと連携して中東地域最後の〝最後の敵〟たるイランの政権を打倒することを目論んだのである。さらに、ベネズエラのみならず中東地域の石油・天然ガスをも安定的に確保することによって、トランプは、いわゆる「脱炭素」の風潮をものともせず、石油大国としてのアメリカの地位を盤石なものとする同時に、ロシア産天然ガスなどの禁輸によって苦境に立つ欧州の帝国主義各国をも追随させることをも狙っているのである。
アメリカ帝国主義・トランプ政権は、これまでも反米的国家・勢力を潰すために多用してきた方策を適用したと言える。核をもとうとしているとか、人権を抑圧しているとか、米国に麻薬を送り込んでいる、とかの〝罪状〟をあげつらって、当該国家にたいする「経済制裁」を仕掛け、経済的苦境に追い込み、民衆の不安と政権への反発を煽ってあわよくば政権を打倒し、あるいは弱体化させたうえ、軍事的にも攻撃して敵対勢力を排除し、アメリカ帝国主義の勢力圏を維持・拡大する、というそれである。
このアメリカ帝国主義と呼応し、綿密な情報共有と軍事的連携のもとでイラン攻撃を実施したイスラエルもまたアメリカ帝国主義との同盟関係を基礎として版図をさらに拡大し、文字通り中東の大国として君臨することを狙っているのである。ガザ地区を攻撃して焼け野が原とし、五万人以上を殺戮したネタニヤフ政権は、それに飽き足らず、ヨルダン川西岸地域にも入植地を拡げ、〝大イスラエル〟の構築をめざしている。まさにそのためにも、イラン・イスラム共和国の打倒を狙っているのだ。
全世界の帝国主義国家権力を打倒し、プロレタリア権力を樹立しよう!
世界の労働者階級の輝かしい未来を切り拓こう!
またしても、アメリカ・イスラエルそしてイランの、各々の国家の支配階級が戦争によってその利害・権益を維持・拡大するために労働者・農民たちに軍服を着せ兵士として闘わせているのだ。この戦争は、アメリカ帝国主義による帝国主義的侵略戦争いがいのなにものでもない。
全世界の労働者階級は、プロレタリア・インターナショナリズムにもとづいて、連帯して帝国主義戦争を阻止するために闘おう!帝国主義戦争の根絶は、そして真の平和は、被侵略国の対帝国主義の戦争を支持することでは決してなしとげえない。侵略を受けているイランの支配階級じしんもまたその階級的支配体制をまもり利害をまもるために、労働者たちに戦わせているのだ。
アメリカ帝国主義をはじめとする全世界の帝国主義国家・階級国家を、それぞれの国の労働者階級が連続的に打倒し、全世界でプロレタリアートの権力を樹立すること以外に解決はありえない。
夥しい流血と殺戮の連鎖を断ち切るために、全世界の労働者階級は、連帯して闘おう!
二〇二六年三月一日 北川 聡








