〈アベ・スガ〉顔負けの政治的感覚?!

  思想闘争を忌避し、政治ゴロの〝世界〟に引きこもる  「革マル派」指導部

 

 「解放」の本年新年号は、われわれが既に「革マル派の終焉」(『コロナ危機の超克』所収)などで暴き出してきた腐敗ぶりを紙面全体に表現するものとなっている。〈反帝反スタ〉とも、〈革命的マルクス主義の立場〉とも無縁となった彼ら「革マル派」指導部は、わが探究派との思想闘争を忌避し、探究派をかつての解放派になぞらえて藁人形をでっち上げ、探究派の闘いから身を護る防護柵を張り巡らせようという挙にでた。このことは、彼らがわが探究派の思想的=組織的闘いの前に対応不能に陥ったことを自己暴露するものであった。それとともに、一切の思想闘争を、ひいては一切の主体的な思想的営為を彼らが投げ捨てたことを白日の下にさらけだしたのであった。(二〇二〇年一二月の政治集会での「常磐哲治」報告――本ブログ記事「「常磐登壇」の猿芝居」を参照されたい。)
 今日は、彼らが上記新年号であからさまに示した、組織内思想闘争の否定=「党」指導部の自己保身にもとづく歴史の偽造について、一瞥しておこう。

 

 「俗説のまやかしを暴く」とは??
 
 新年号(巻頭論文)で彼らは言う。「さらにわれわれは、マスコミなどが垂れ流す〈ウイルス対人類〉なる俗説のまやかしを断固として暴き出した」という。エッ、ソレ、イツ・ドコで!
 笑止千万とはこのことではないか!
 こんなミエミエの隠蔽策で誤魔化せるほど、世の中甘くはない。そんな馬鹿話が通用すると思うのは、この世から探究派に消えてもらいたいと願う彼らのみなのだ。われわれは、彼らが「解放」二六一三号(四月六日付け)で披瀝したゴルバチョフなみの「全人類的立場」について、当時すでに間髪を入れず暴き出しておいたではないか。

 

 曰く、「まさに世界各地で人民が次々と命を落としているという全人類的危機のなかで、各国の資本家階級は独占資本の延命のためにのみ血道をあげ、一切の犠牲を労働者階級人民に強制しているのだ。」
 曰く、「ウイルスの叛逆」
〔 これらについては、『コロナ危機との闘い』(二〇二〇年七月一〇日発行)所収の北井論文、西知生論文をご覧頂きたい。〕

 

 いやそもそも、これに先立つ二〇一七年、トランプ政権による北朝鮮軍事攻撃の威嚇の折、「核戦争による人類絶滅の危機」を絶叫し、「戦争がはじまったら、新宿駅西口に集合せよ!全国でソビエトを結成して闘おう!」などと騒ぎ立てたのが彼らであった。「(全)人類的立場」から危機を煽り、自らの危機をこそのりきろう、というのは、既に彼らの〝お家芸〟ともなってきたのである。革命的マルクス主義の立場を放擲し、プラグマティックに自己保身と延命を図るという彼らの所業は、今に始まったことではないのである。
 問うのも野暮であるが、では、なぜ今日彼らは〈俗説のまやかしを暴く〉などと、歴史を偽造するまでにいたったのか。
 いうまでもなく、わが探究派によって彼らの思想的腐敗が暴露され、それが「革マル派」下部諸成員たちに知られつつあることを何とかして食いとめたいと彼らが願望しているからである!
 いささかマンガ的ではあるが、彼ら「革マル派」指導部は、〝地の果て〟まで飛んで、「やっと逃げおおせたか」と思った瞬間に、実はお釈迦様の掌で踊っていたにすぎないことを突きつけられた〝孫悟空〟のようだ、というのは余りにも極端な美化であろうか。もっとも彼らにそんなことをされたら、お釈迦様の掌も腐る!

 トランプの陰謀に乗せられる「革マル派

 また新年号において、彼らは「新型コロナウイルス出生の闇」をいち早く暴いた、と自賛している。このこともまた彼らの腐敗を象徴するものと言える。上に紹介した「解放」二六一三号に「新型コロナウイルス出生の闇」という短文が掲載されたことは事実である。しかも、それは『新世紀』三〇七号(二〇二〇年七月号)にも載せられた。だが、その内実は、トランプ政権を源流とし、『サンケイ』などの右翼ジャーナリズムを先兵とする「武漢ウイルス」説を丸呑みして垂れ流すものなのである。わが探究派はそのことをも、当時暴き出しておいた。(『コロナ危機との闘い』所収の佐久間論文をご覧頂きたい。)今日、反米民族主義に転落している「革マル派」指導部のこの醜態は、まことに哀れというべきか。
 いや、問題はさらにその先にある。「解放」二六一三号の一面には「ウイルスの叛逆」による「全人類的危機」を唱える文章が掲載され、別の面には「武漢の研究所」由来の生物化学兵器説が掲載されていたのである。今、彼らは前者をなかったことにし、後者を自賛しているのである。このことは、彼らが相異なる二つの見解を同時に発表しても何の痛痒も感じなかったことを意味すると同時に、彼らが何の組織内討論をも組織することなく、時々の自己保身的動機によって主張を変えても何ら恥じない、という腐敗ぶりをさらけ出しているのである!相も変わらずとはいえ、彼らの変質と腐敗にわれわれは怒りを禁じ得ない。

 政治ゴロ化を深める「革マル派」指導部

 わが探究派との関係においても、彼らが支配する「組織」内においても、彼らは「思想闘争」のまねごとすら出来ない。己の腐敗を暴露する者への逆恨みとあくなき自己保身を動機とした挙動――これが彼らの今日の全てである。断固たる闘いによって、彼らを打倒しようではないか!

 革命的マルクス主義者たらんとするすべての仲間、「革マル派」指導部によって破壊された反スターリン主義運動の再創造を意志する全ての同志たちは、探究派とともに闘おう!
     (二〇二〇年一二月二六日  椿原清孝)