守門勘九郎論文(「解放」2672号)読後感
まず、第一に題名に「経済争闘戦の激化」とありますが、「脱炭素化」をめぐる各国権力者の動向について書いてあるだけですね。
さらに第二には、地球温暖化についての各国権力者・支配階級なりの危機感が全く伝わってきません。彼らは彼らなりにこのままでは資本制社会の存続すら危ういという並々ならぬ危機感を持っているわけですが。
第三に、そうであるがゆえに各国の政府・支配階級が産業構造の一大転換を余儀なくされ、これを契機に「脱炭素」の生産諸手段・技術諸形態の開発・運用を新たな利殖の手段としていること。それは労働者階級に甚大な犠牲を強いるものであること。こういうことも伝わってきません。
第二、第三の点がはっきりしていないがゆえに、この論文はなんというか、マのぬけたというか、気の抜けたビールのような読後感を持ちました。各国権力者の角逐も、この第二、第三の点から捉え返さないと、その階級性も浮き彫りになってこないと思います。
「経済争闘戦の激化」という題名ですから、本人は経済分析を書こうとしたのでしょうが、なぜこういう内容になるのかは謎です。
(二〇二一年六月二七日 雲山真二郎)