2024年・第二回ミラノ国際主義者会議から全世界の革命的左翼に向けたアピール文 (連載その3)

 以下に掲載するのは、2024年2月17日・18日両日にわたってイタリア・ミラノで開催された「国際主義者会議」の締めくくりに実行委員会が提起したアピール文である。

 わが探究派もまたこれに賛同し、署名した。

文末にあるように、次回会合の開催は1年後に予定されている。(春木良)


 IMFの算出によれば、1998年時点における世界全体の生産量では、先進国が57%、新興国が43%を占めていた。だが2022年にはその比率が逆転し、新興国が58%、先進国が42%になったという。これほど重要で、かつこれほど短期間で経済大国が交代したのは、帝国主義の歴史上、類例がない。台頭している中国とインドがこの地殻変動の発生源であり、この第一級の変化は国家システム全体に政治的な波紋を投げかけている。
 国際関係における大混乱の時代が幕を開けた。新旧の諸勢力が、競争相手に対する優位を獲得するべく熾烈な争いを繰り広げている。猛烈なスピードで様々な協定が結ばれ、また衝突が繰り返され、次々と経済的・軍事的同盟が結成されている。これこそまさしく、戦争への傾向が急速に進行しつつあるところの、多極化世界である。この対立関係を、民主的レジームと専制的レジームとの対立であると描き出しているのが西側の帝国主義諸勢力であり、これに対して新興諸勢力は、西側の秩序が不公正であるとみなして、それに疑問を投じるよう他国にも迫っている。再軍備プログラムや軍事計画が、核兵器を使用する可能性の検討をも含めて——この兵器を現在所有している勢力だけが企てているのではない——至るところで進められている。核爆弾に関して公然たる議論が行われているのは、ベルリン、ソウル、東京、キャンベラ、リヤド、テヘランアンカラ、ブラジリアにおいてである。武力紛争はより一層その頻度を増し、激烈になっている——ウクライナコーカサス、アフリカ、そして中東から、台湾や東・南シナ海をめぐる一触即発の緊張に至るまで。没落しつつある旧来の帝国主義諸国家と、新たに台頭しつつある帝国主義諸国家、そして諸々の地域大国が対立し合う、そのような新時代が幕を開けつつある。
 20世紀の大虐殺を導いた帝国主義戦争という構想がこの巨大な構想で再び現出しつつあるのに直面して、われわれは、ブルジョア支配と資本による戦争の一切に反対する労働運動において、国際主義者の組織間での対話を発展し強化することが不可欠であると考える。
 国際主義者はその諸活動において、移民に関するEUおよび他の旧勢力の帝国主義的政策に反対する必要もある。すなわち、移民のプッシュバック、隔離、生命を脅かす蛮行からなる帝国主義的な同化政策がそれだ。われわれは、すべての国の労働者の団結を守らなければならない。新たに到着する人々は階級闘争を強化するのであり、われわれは一切の差別なしの移民受け入れを求める。
 この二日間にわたり、「列強間の抗争の重要なポイント:ウクライナから台湾へ、アフリカから大中東へ:階級的対応のために」を主題とする国際主義者の会議が開催された。世界分割をめぐる新旧の強奪者間での闘争の展開とその反響、帝国主義諸国と全世界における階級闘争の役割、われわれ階級的諸勢力の現状と潜在的な展望、帝国主義の完全な円熟期における民族問題——こうした問題についての2023年7月に開始された率直で建設的な討論を、われわれは今回継続してきた。
 われわれは、帝国主義が世界中の労働者階級を分裂させるために用いるあらゆる民族主義的な態度やイデオロギーに反対して、プロレタリアが声をあげる必要があると確信している。
 プロレタリアートは、その数において巨大な力を持っており、数十億の賃金労働者が「最強の権力」として行動するならば、すべてのブルジョアジーを一掃することができるのだ。しかしながら、この現代の野蛮に対するわが階級の対応は、出来合いの仕方であってはならない——国際情勢については綿密な分析が必要である。
 この目的のために、われわれはすべての組織に、相互対話を拡大し促進するよう呼びかける。これが実現可能な課題であることは、プロレタリア国際主義の「家族」、すなわちトロツキスト共産主義左派、アナキストリバタリアン共産主義者——これらに属する多くの組織が踏み出した最初の一歩によって証明された。
 われわれは、あらゆる範囲で議論されたそれぞれ異なるスタンスを、多くの国々の同志にとってアクセス可能なものにするのを目標としていることを、再確認する。われわれの内で誰一人として、視点・評価・分析に関して昨今生じているところの相違を隠蔽することには何の関心ももたない。
 会議のために寄せられた論文や報告は、『インターナショナル・コレスポンデンス・ブレティン』第2号に収録され、第1号と同じように、可能な限り最大の発行部数が確保される予定である。
 国家そしてブルジョア的支配に反対し、すべての国の労働者の団結を基礎とした政治行動をとるあらゆる組織に対し、われわれは対話の呼びかけを再開する。
 この2日間の会議に基づいて、われわれは、この対話を継続し更新し発展させるために、2025年前半の間に第3回国際会議を開催することを提案する。実行委員会は、今回の会議を踏まえて討議テーマを提案する予定である。
 労働運動における国際主義の伝統を引きつぐすべての組織に、改めて招待を行う。

(2024年2月18日 ミラノ国際主義者会議参加団体一同)