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 『国際主義者通信』の発売にあたって     

 この小冊子Internationalist Correspondence Bulletinは、二〇二三年七月と二四年二月の二度にわたりイタリア・ミラノで開催された「国際主義者会議」(Internationalist Meeting)、その報告集である。ロシア・プーチン政権によるウクライナへの軍事侵攻、そしてイスラエル・ネタニヤフ政権によるパレスチナ人民に対するジェノサイドが進められている中で、帝国主義戦争に反対するプロレタリアートの国際的闘争を推進するための方向性について討論することが、会議の目的であった。イタリアの共産主義組織ロッタ・コムニスタを中心とする実行委員会の呼びかけに応えて世界各国から結集した諸団体の立場は多様であり、そこにはトロツキストのいくつかの潮流のみならず、左翼リバタリアン、あるいはアナキストを自任する人々も含まれていた。このようにイデオロギー的立場は異なっていようとも、参加者らは、プロレタリア国際主義を貫徹して帝国主義戦争に反対する闘争を推進するというこの決意を共にして集い、真摯な討論を繰り広げたのである。
 ソ連邦の崩壊以後、第四インターナショナルをはじめ非スターリン主義的左翼は分解に歯止めをかけられず、連絡調整機関を事実上失っている状況にある。そうした中でイタリアの同志たちがこの間の会議において、世界各国の諸団体に相互討論の機会を提供したことの意義は極めて大きいものがある。このような認識に立脚しつつ、わが探究派は、ウクライナ反戦闘争においてもパレスチナ反戦闘争においても一切の民族主義的歪曲を許さず、あくまでプロレタリア国際主義の立場を貫徹すべきことを訴えた。参加諸団体の間で見解の相違はなお止揚されているとは言い難いものの、この会議に対しては世界中の心ある人々が大いに関心と期待とを寄せている。わが探究派は、各国の同志たちとの間で培ってきた協力関係を今後も一層深化させ、反スターリン主義革命的左翼としての実を示して国際反戦闘争の先頭に立つ決意である。
 なお第一回目の会議には、日本からはわが探究派に加えて「革マル派」が論文を寄せている。あろうことか、ウクライナ・ゼレンスキー政権を支援するためにもっと最新兵器の供与を進めるべきだと西側帝国主義国家権力者に要請しているのが彼らであった。世界中で嘲笑されるであろうと予期してか、ミラノ現地には来場できなかった「革マル派」は、自分たちがこの国際主義者会議に寄稿した英語論文の存在を、組織外はおろか自らの組織内でも一切公表していない。そのような知られざる文書を収録しているという点で、この小冊子は一定の資料的意義を有している。読者の皆さんにおかれては、今日の「革マル派」がナショナリズムの立場へと転落した様子を実際に確認し、それに対してわが探究派が繰り広げてきたイデオロギー闘争をこの小冊子において検討していただきたいと思う。反スターリン主義運動の戦列を再構築するために、共に闘おう !
(二〇二四年五月二十五日 春木 良)
 

A4判、124頁、120頁です。