メーデーをたたかおう!

 今年もメーデーの集会は、「連合」系は4月29日(祝日)、全労連系と全労協系は5月1日(月)に分裂して開催される。
 4月29日のメーデー中央集会は、代々木公園で4年ぶりに開催され、2万8000人(主催者発表)の労働者たちが参加した。今年は、なんと岸田が、総理大臣としては9年ぶりに登壇して、「賃上げのうねりを地方へ、中小企業へ広げるべく全力をつくしていく」などと調子のいい挨拶をした。彼は、「連合」指導部をしたがえて「政労使の意見交換」をしたことを誇示したのである。岸田は、長年にわたる賃金抑制と急激なインフレのもとで労働者階級の怒りが高まっているなかで、「雀の涙」ほどの賃上げを針小棒大に押し出し、「新しい資本主義の最重要課題は賃上げ」であるなどと欺瞞的言辞を弄した。さらに岸田は「〈リスキリングによる能力向上・企業実態に応じた職能給の導入・成長分野への労働移動〉の三位一体の労働市場改革を進めていく」という資本家階級の野望をあからさまに吹聴したのである。

 多くの労働者が、「ふざけるな!」というヤジをもって答えただけではない。この岸田を招いて資本家階級の思惑を吹聴させた「連合」指導部への疑問と怒りを募らせたのであった。

 

4年ぶりにようやく開催された4.29「連合」中央集会(代々木公園)


 非正規労働者が2100万人(全労働者の37.3%、女性では53%超)。そのうち男性の年齢階層別調査によると、15~19歳の約65%、65歳以上の約69%がパートやアルバイトで働いている(厚生労働省 2021年)。
 岸田が吹聴した「賃上げ」とは、微々たるもので、労働者たちの生活の改善にはほど遠いだけではなく、「企業実態に応じた職務給の導入」など、賃金支払い方式をさらに反労働者的に改変していく〈疑似餌〉であって、ペテンそのものだ。独占資本が労働者の強搾取を通じて蓄積を進め、あるいは莫大な「内部留保」を積み上げている現実を隠蔽し、労働者階級に資本への忍従をせまるもの以外のなにものでもない。それを「連合」指導部は「労働者の祭典」であるメーデーで岸田に堂々と語らせたのだ。


  「テロ対策」と称して演壇と集会参加者とのあいだを広く開けたのは、「連合」労働貴族も岸田も、労働者階級の怒りを実は恐れていることを、問わず語りに示したといえる。

 演壇とはかけ離れた会場の真っただ中で、職場から一緒に春闘をたたかった仲間とともに、「この現実を変えていこう」と決意を固めあった。


 次回は、5月1日の全労連メーデーを報告する。
        (2023年4月30日 稲垣足助)