探究派公式ブログ

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アメリカ帝国主義のベネズエラ軍事攻撃・強盗支配策動を弾劾しよう!

 

ベネズエラを軍事攻撃し、大統領夫妻を拉致

 

 二〇二六年一月三日、アメリカ大統領・トランプは、米軍がベネズエラに対する大規模な軍事作戦を行ったと発表した。同時にマドゥロ大統領夫妻を逮捕したとも発表した。報道によるならば、最新鋭原子力空母「ジェラルド・R・フォード」を中心とする空母打撃群が、ベネズエラ(正式には「ベネズエラ・ボリバル共和国」〔*〕)の首都カラカスを中心に大規模な爆撃(戦闘機による爆撃・ミサイルや無人機による攻撃)を行い、大混乱に陥れるとともに、電力設備を破壊するなどしてベネズエラ軍をパニックに陥れたうえ、ヘリコプターで特殊部隊が急襲し、大統領夫妻を拉致したものと思われる。トランプは自身のSNSに、航空機で米国に移送中のマドゥロの写真を投稿、ベネズエラ政府も、大統領夫妻の「行方不明」を伝えている。またこの攻撃によって、住宅なども多数が破壊され、80名が殺されたとベネズエラ政府は発表している。
 この攻撃は、ベネズエラ政府がアメリカへの「麻薬の密輸」をおこなっているとし、それをやめさせることを名分として行われた。既に、米軍はベネズエラの船舶を「密輸船」として攻撃したり、「密輸拠点」と烙印して港湾設備を破壊し、100人以上の人々を殺すなどの挙にでていた。そして遂にベネズエラに軍事攻撃をしかけ、国家元首=大統領マドゥロを拉致し、「逮捕」、そして裁判にかける、と豪語している。

 

ベネズエラを支配し、石油資源を強奪することを宣言!

 

 一月三日には、トランプは記者会見し、「政権が移行するまで、ベネズエラの国家運営にアメリカは関与する。石油施設を再建する」と公然と宣言した。
 さらに一月四日、ロイターは、トランプがベネズエラのロドリゲス副大統領(女性)が「大統領として宣誓」したとし、「ベネズエラを再び偉大な国にするために必要なことを行う用意がある」と述べたが、当のロドリゲスは当初は「マドゥロ氏が同国唯一の大統領であると主張した」と伝えられていた。さらにトランプはロドリゲス暫定大統領が従わなければ、さらに大規模な軍事的攻撃を加え地上軍を進駐させることを宣言し、屈服を迫った。この威嚇に対して、最高裁判所から暫定大統領に指名され、事態の収拾を託されたロドリゲスは一転して「米国と協力する」ことを打ち出した。アメリカ軍の大規模な攻撃と進駐・制圧にさらされることを恐れたベネズエラ支配層の総意を体現してのことであろう。もとはと言えばロドリゲスは「社会主義者」とされる人物であり、唯々諾々とトランプの傀儡になるわけはない。面従腹背の態度で、トランプの攻撃をかわし、その要求を一定程度は受け入れつつも、現政権を維持しベネズエラの「国益」を少しでも擁護することをしたたかに狙っているに違いない。そもそも「ベネズエラ・ボリバル共和国」〔*〕という国名そのものが、外国帝国主義の支配に抗うことをしめすものなのである。だがたとえそうであっても、トランプは軍事的威嚇・脅迫によってベネズエラアメリカ帝国主義に従順な国家とすることを企んでいることを、またベネズエラの石油資源の強奪が狙いであることを明け透けに表明したのである。(さしもの「慎重」なNHKでさえ、トランプ政権は「石油資源を奪うという意図を隠していない」と言ってのけたのであった。)

 

「これがアメリカ第一だ!」「これが力による平和だ!」

 

 トランプは、ベネズエラを「コントロールする」こと、アメリカの巨大石油企業を進出させ、ベネズエラの石油資源を強奪することを、堂々と宣言したのである。そして、三日の会見に同席した国防長官・ヘグセスは「これがアメリカ第一だ!」「これが力による平和だ!」と吠えた!トランプにせよ、ヘグセスにせよ、いわゆる「きれい事」さえかなぐり捨て、マフィアなみの、いや野獣同然の品性をもさらけ出して、勝利の凱歌をあげたのであった。
 ベネズエラ政府が「麻薬の密輸」を行っているとか、マドゥロが「独裁者」であるとか、「テロリスト」であるとかの、軍事攻撃を正当化する名分が、それ自体が真っ赤な嘘であることを平然と自白したのである。ここに「民主主義」や「自由」を標榜する帝国主義権力者の強欲・冷酷・野蛮な素顔が剥き出しになっている。――このような権力者に「国際法」や「正義」にしたがうことを求めることほど、愚かなことはない。

 

「ドンロー主義」のペテン――没落覇権国の悪あがき

 

 実のところは、トランプ自身が明け透けに述べている。ベネズエラは、サウジアラビアなどを上回り、世界最大の石油の埋蔵量を誇るとされている。そのベネズエラが中・露の東側帝国主義と結びついていることに危機意識をもやして、「反米・親中」の政権を転覆し、アメリカ帝国主義の勢力圏に奪い取ることこそが真の目的なのである。
 それというのも、アメリカ大陸〔南北アメリカを含む〕でも、近年、台湾と断交し中国と国交を開く国が急速に増加し、台湾と国交をもっているのは、人口が極めて少ない四つの島嶼国をのぞくと、わずか三カ国(グアテマラ、ハイチ、パラグアイ)のみとなっている。中国政府は、台湾政府と国交をもつなら、その国とは断交するとしている。「一つの中国」の外交的貫徹である。もちろん、ある国が中国と国交をもつことが直ちに「親中」を意味するわけではない。実際、中国を「唯一のライバル」と見なすアメリカじたいが中国と国交をもち、台湾とは形式上は国交をもってこなかった。中国帝国主義があまりにも強大化したために、そこまではできない。しかし、バイデン・トランプ両政権は、ニクソン政権以来の「一つの中国」の事実上の承認を覆し、強大化した中国に対抗する勢力として〝半導体帝国〟となった台湾を囲い込み、巨額の武器援助も実施している。だが、中国の影響力はアメリカ帝国主義が自国の「裏庭」とみなす中南米にも――中国を最大の貿易相手国とし、BRICSの一角を占め、〝グローバルサウス〟の雄たる大国・ブラジルやパナマ運河を擁するパナマをはじめ――深々と及んでいるのである。トランプが大統領就任早々に「中国が管理するパナマ運河をとりかえす」と吹き上げたのはそのためである。そして「反米・親中」の先頭に立ったのが、チャベスおよびマドゥロ大統領のベネズエラであった。〔チャベス大統領は、アメリカ資本に奪われていた石油開発企業を国有化し、後継マドゥロがそれを継承した。〕アメリカ帝国主義にとってチャベスマドゥロベネズエラはまさに〈喉に刺さった骨〉だったのだ。そのベネズエラへの軍事攻撃は、中国にたいして〝これ以上アメリカ大陸に手を出すな!〟という警告としての意味をももつと言える。
 トランプは、二〇一八年以降、「西半球での優位の回復」を唱え、これを「ドンロー主義」と称し、「モンロー主義をこえた」と自賛している。「モンロー主義」にドナルド・トランプをかけあわせたのが「ドンロー主義」だというわけである。だが「モンロー主義をこえた」という自賛は、まったくの虚勢にほかならない。
 かつての「モンロー主義」(アメリカ大統領モンローの「モンロー宣言」一八二三年)は、イギリスから独立し、新興国家として国力を蓄え、日の出の勢いをしめしたアメリカ(USA)が、まずは、それまで多くがスペインなどの欧州諸国の支配下にあったアメリカ大陸全体をみずからの勢力圏として固めることを狙うものであった。欧州諸国にたいして〝アメリカ大陸には手を出すな!〟と要求したものなのである。したがって、「孤立主義」というような言い換えはまったくあたらない。なお帝国主義の段階には達していないとはいえ、アメリカの新たな対外膨張政策のはじめなのである。「モンロー主義」は、やがてカリブ海・太平洋地域におけるスペインの勢力圏を奪う米西戦争キューバプエルトリコなどのカリブ海諸国、ハワイ・フィリピン・グアムを奪取)への足場づくりをなしたと言える。ちなみに米西戦争(一八九八年)を遂行し、アメリカ帝国主義国家の礎を築いたのが、トランプが礼賛し、自己をそれに擬してやまない大統領・マッキンリーである。しかし、マッキンリーがアメリカ帝国主義国家の勃興のシンボルであるとすれば、トランプはアメリカ帝国主義国家の没落の象徴なのである。
 トランプの「ドンロー主義」なるものは、「西半球での優位の回復」という表現で自己暴露してもいるように、第二次世界大戦後には世界に覇を唱え、ソ連邦の崩壊以後には「一強」となったアメリカ帝国主義が、今日では中国帝国主義に追い上げられ、経済的にも政治的にも守勢・敗勢が濃厚となり、その挽回に躍起となっているのであって、そのもとでの「西半球での優位」というのは、モンローの「モンロー主義」とは全く異なる。トランプの「ドンロー主義」は、没落する旧覇権国の悪あがきを表すものでしかない。



トランプ政権の断末魔

 

 ベネズエラへの軍事攻撃は、同時に、ほかならぬトランプ政権そのものの危機の突破を謀る〈起死回生〉の策動なのである。
 二〇二四年の大統領選挙に勝利して大統領となったトランプは、「アメリカを再び偉大に」の名の下に傲慢な諸政策を次々と強権的に打ち出してきた。だが、今日のトランプ・共和党は、二〇二六年十一月に行われる中間選挙で敗北することが必至であるとみられている。
 物価の上昇が続き、労働者たちの生活難がますます募っているだけではない。アメリカの製造業はますます萎縮し、外国からの資本投資に依存を深めている。「掘って掘ってほりまくれ!」というトランプによる化石燃料の掘削・消費の号令を条件として、電気自動車部門で世界に先駆けてきたイーロン・マスクのテスラさえもが、電気自動車の販売台数でさえ中国のBYDに水をあけられたことがその象徴であると言える。今や世界の自動車市場は、ハイブリッドカーに強みをもつ日本のメーカー、低価格製品を繰り出す中国・韓国のメーカーに席巻されつつある。それだけではない。トランプ政権は、高関税によって損害を被った国内の諸企業から、大統領権限を越える不法行為だとして損害賠償を求め訴えられていたのであるが、二〇二六年早々にも最高裁で判決が下る見通しとなっている。トランプは敗訴を見越して別の法的措置をさぐってさえいる。アメリカ帝国主義の政治的・経済的力を誇示し莫大な富をアメリカにもたらすはずであった「相殺関税」も、レア・アースの輸出規制を振りかざす習近平の中国の壁にぶつかり、事実上頓挫した。このような状況で、トランプの支持率は下がり続けているのである。中間選挙共和党が敗北すればトランプ政権はまさに〝レイム・ダック〟となってしまう。
 この危機を、「MAGA(アメリカを再び偉大に)」の〝成果〟をあげることで突破することに躍起となったのが、トランプなのだ。「ノーベル平和賞」が欲しいというタチの悪い冗談としか言いようのない願望を、どうやら本気で抱いていたらしいトランプではあったが、背に腹はかえられないとばかり、戦争屋の本領を発揮し、アメリカ国民の喝采を浴び、新たな熱狂をつくりだそうとして決行したのが、ベネズエラへの軍事攻撃・強盗支配の策動なのである。

 

ベネズエラへの軍事攻撃弾劾!トランプ政権打倒!」の闘いを、
世界の労働者階級と連帯して推進しよう!

 

 このベネズエラ軍事攻撃に、東西の帝国主義権力者どもも、それぞれの思惑から対応している。
 さしあたり、日本の首相・高市は、「ベネズエラにおける民主主義の回復と情勢の安定化に向けた外交努力を進める」と自身のXに投稿した(四日)。これはトランプ政権の筋書き――「独裁者」マドゥロの打倒とベネズエラの「コントロール」――をなぞったものであり、トランプのベネズエラ攻撃を、事実上は公然と支持するものなのだ。高市をはじめとする日本の極右勢力は、北朝鮮に対してトランプのような軍事攻撃ができれば、と夢みているに違いない。高市の「皇国日本」主義と、トランプの「アメリカ第一」主義の親和性、日米安保同盟の〈強盗同盟〉としての本性がここに明確に示されている。

 ベネズエラ軍事攻撃を新たな転回点として、東西両帝国主義陣営の角逐はますます激化するであろう。中国・ロシア・北朝鮮の東側帝国主義権力者はもとより、アメリカ・トランプ政権の策動を、多少とも非難しつつある西側帝国主義諸国の権力者どももまたこぞって軍備の拡張と最新鋭化に躍起となるであろう。
 かつて「砲艦外交」という語があった。軍事技術が遙かに進歩した今日では、かつての「大艦巨砲」主義はおろか、航空母艦を中心にした機動戦も色褪せ、長・短距離のミサイルおよび無人機が縦横に駆使される時代となった。トランプは「トランプ級戦艦」を大量につくりだし、「黄金艦隊」を世界に派遣すると豪語しているが、この「戦艦」も実は巨砲にかえて大量のミサイルを装備するものなのである。この意味では今日は「ミサイル外交」の時代となったとすら言える。

 われわれはこの新たな帝国主義的争闘戦を断じて許してはならない。
 「国際法」を基準とした諸野党などの対応の虚妄を暴き出し、トランプ政権のベネズエラ軍事攻撃・強盗支配弾劾!の闘いを推し進めよう!
 高市政権による対中国・ロシア・北朝鮮の戦争準備、ミサイルの大量配備に反対しよう!

 アメリカ国内でも、ホワイトハウス前での”No War”の行動やマドゥロを収監した施設の前での「マドゥロの解放」を求める行動など、さらにニューヨークの民衆の抗議行動など、抗議の波が現れている。またイスラム教徒として初めてニューヨーク市長となったマムダニも、非難の声をあげた。だが、それらのプロテストも、アメリカン・ナショナリズムの嵐にかきけされようとしている。アメリカの労働者階級が団結して立ち上がらない限り、トランプ政権を打倒する真の力は生まれないのである。

 われわれ日本の労働者は、階級的に団結し、インターナショナリズムに立脚して、アメリカ・ベネズエラ、そして全世界の労働者階級と連帯して闘おう!

〔*〕「ベネズエラ・ボリバル共和国」――この国名は「ボリバル」こと、初代・大コロンビア大統領のシモン・ボリバルの名を組み込んだものである。シモン・ボリバルは、カラカスに生まれ、南米大陸アンデス五カ国をスペインからの独立に導き、一八一〇~二〇年代に、ベネズエラ大コロンビアボリビア・ペルー等の大統領を歴任した、いわばラテンアメリカの英雄であり、「解放者」ともよばれる。彼の名を冠した「ボリバル主義」は、ラテンアメリカ諸国の協力や連帯をアメリカ合衆国の主導ぬきで進めようとする考え方のこと。「ボリビア」の国名も彼に由来する。(Wikipedia)〕

二〇二六年一月五日  三宅勝人