読売新聞は、「介護2割負担対象拡大焦点」「財源確保へ応能負担強化」と大きく見出しをつけ、「現在の自己負担の1割のサービス利用者が全体の91.1%を占め、高齢化による介護費用の増加で現役世代の保険料が増している。」「2割負担の対象者の拡大が必要」「現役世代の負担の増加を抑制するために制度改革を実施すべきだ」という厚労省部会の論議を紹介した。そして、「政府は支払い能力のある高齢者の応能負担を強化し、財源の確保の新たな道筋をつける狙いだ。」と解説した。(2025年11月7日読売新聞)
これでは、高齢者が介護サービスをうけることがますます困難になり、高齢者とその家族はただでさえ苦しいのに、生活がより厳しくなる。
私は、デイサービスセンターで介護職として働く労働者である。
毎日、車で利用者を送迎するのであるが、その半数が一人住まいの独居老人である。ワンルームのアパートからなんとか伝い歩きしながら出てくる人もいれば、室内に座り込んだままなので私たちが迎えに行って送迎車に乗せる場合もある。デイサービスの利用が週に一回の人は、デイに来てやっと風呂に入り食事をしてくつろぐのである。ところが、政府はその利用料金の負担を倍増しようというのだ。年金だけが生活の糧になっている高齢者からさらに搾り取ろうというのだ。なんと冷酷なことであろうか。
また、家族と住んでいる場合であっても、同居している息子(娘)は親を迎えの車のところまで連れ出して介護職の私たちに一刻も早く親を託そうとして待っていることがある。家族はすぐに働きに出かけなければならないからだ。彼らは必死で働いて親の生活を支えているのである。こういう家族から2倍の介護サービス利用料を取ろうとしているのだ。給料も上がらない中で、物価がどんどん高くなる現状で親の介護にかける費用はなるべく低く抑えたいのに、逆に多く出さなければならないのは、家族にとっては極めて苦しいことなのである。そうなれば、介護サービスの利用回数を半分に減らさざるをえなくなる。それは、同時に、息子(娘)が親を介護する負担が重くなることになるのだ。彼らは、親を介護するために離職に追い込まれることにもなりかねない。政府のこのようなやり方は腹立たしい限りである。
また、訪問介護を受けヘルパーに掃除や食事の準備をしてもらい、デイに行くための着替えなどの準備と対処と声かけで定刻に送り出せるようになっている場合もある。このように訪問介護とデイサービスの介護を連続的に利用することで、家族にとっては買い物や通院の余裕ができるようになるのである。ところが、「応能負担」の名のもとに自己負担金が倍増されると、介護サービスの利用さえ見直さざるをえなくなり、家族そのものも生活が苦しくなるのは明らかである。
それでも、政府はなぜこの制度を改悪しようとしているのか。
高市政権は、軍需産業やAI関連事業などに予算配分を強化しようとしている。高市政権がこのような政策をとるのは、日本帝国主義国家の存続のために、軍事力を増強し利権を追い求めようとしているからである。なお、低賃金の介護職への手当の支給をうちだしているが、これは介護職の離職を減らすための小手先細工にすぎない。ただでさえ人員不足の下で過重労働を強いられている介護労働者にさらなる労働強化を強制するためなのである。
私たち介護労働者はこういう改悪は絶対に許すことができない。
「応能負担」の名による高齢者・家族の収奪に反対しよう!
すべての労働者と連帯して、高市政権の悪どい攻撃を断固として粉砕しよう!
2025年12月14日 海道 航