現代の「突撃隊」による労働者階級闘争の破壊を許すな!
◇参政党の台頭――〈21世紀現代のファシズム運動〉
二〇二〇年に神谷宗幣を中心として設立されたとされる参政党、日本ナショナリズムにもとづいて、現行の日本国憲法を廃止し、新たな憲法のもとで「国体」を復活させ、天皇を元首とする強権的な国家を樹立すべきことを公然と打ち出したこの党が、二〇二二年には神谷が参議院議員となることで国政政党となった。さらに二〇二五年五月の東京都議会選挙および七月の参議院議員選挙で多数の当選者を出した。戦後の日本に現れた初めての本格的な極右団体である。「世論調査」では「政党支持率」で国民民主党や立憲民主党を凌ぎ、自民党に次ぐ第二位となったともされている。参政党は全国に支部をもち、地方自治体の議員数も150人を超えている。
彼らは、参議院選挙において「日本人ファースト」を掲げ、今日の日本の労働者・勤労者が貧しいのは、もっぱら「外国人の優遇」によるかのような、それじたいデマにもとづく排外主義的スローガンを打ち出し、資本家階級の免罪・擁護と外国人労働者の排斥・労働者階級の分断に血道をあげたのであった。
そもそもこの党は、(1)「日本の国益を守り、世界に大調和を生む」という〝理念〟をかかげ「天皇を中心に一つにまとまる平和な国」の形成を唱える。この主張は、かの「大東亜戦争」の指導理念をなす「八紘一宇」の思想を今日的に呼び覚ますものにほかならない。戦前の天皇制軍国主義専制体制を理想としてえがきだしてさえいる。「教育勅語」を公然と賛美し、教育にとりいれるべきだと主張しているのである。(2)そして「平和な国」などと言いながら、〝核兵器が安全保障の安上がりな方法〟(東京選挙区で参議院議員に当選した〈さや〉の主張)だなどと公然と主張し、日本の核武装と軍事的強大化をはかっている。(3)国内にむかっては、戦前戦中の治安維持法(およびその実施部隊としての特別高等警察)を賛美し、すでに「スパイ防止法」の制定にむけて活発に工作している。中国・ロシア・北朝鮮などの、米・欧・日を中心とする西側帝国主義グループに対抗する東側帝国主義諸国を〈外なる敵〉として排外主義を鼓吹するだけではなく、同時に「日本人ファースト」を唱えて在日外国人労働者への反感を煽り立て、さらには国内の共産主義者などを「反日分子」=〈内なる敵〉としてあぶりだし、弾圧すべきであると絶叫しているのである。
かれらはまさに〈21世紀現代のファシスト〉そのものである。
この参政党はいわゆる議会政党ではない。
その党員数は、二〇二二年度の政治資金収支報告書では46,524人であったが、二〇二四年一二月には68,000人に達したといわれている。
参政党は「投票したい政党がないから、自分たちでゼロからつくる(DIY:Do It Yourself)」をキャッチフレーズとしており、諸個人が自主的に集まって作った、というがこれは真っ赤な嘘である。党組織づくりや運営にかんしては、かつて筆坂秀世衆議院議員の秘書も勤めた元日本共産党専従党員の篠原常一郎の知恵をも活用したようであるが、その程度のことではそうそう党員数は増えるものではない。党勢の急激な膨張は明らかに、野党に足を引っ張られモタモタしている自民党に飽き足らず・業を煮やした極右諸勢力や諸宗教団体、極右勢力が運営する諸企業の関係者、現役・退役・予備の自衛隊員などの流入・糾合・再編に基づいていると言える。(かつては白土三平の『ガロ』を発行していたが、今日では極右団体「在日特権を許さない市民の会」が支配している青林堂書店が、自民党の杉田水脈らの極右メンバーや、参政党その他の極右団体メンバーの著書を出版していることにも、極右ネットワークの形成が進んでいることが示されている。)
また、全国に支部をつくりだし、国政選挙や地方選挙のたびごとに多数のメンバーを動員していることからすれば、党の財政資金が極めて潤沢であることは明白である。党費(月額で一般党員:1,000円、「運営党員」:2500円)や政治資金パーティ収入だけで賄うことは出来まい。日本のブルジョアジーの特定部分から資金供与を受けているに違いない。ちなみに、元自衛隊航空幕僚長・田母神俊雄は参政党の最高顧問となっているが、この田母神が航空自衛隊小松基地の戦闘機に乗せて遊ばせたのが、「アパホテル」の元谷社長夫妻であった。「アパホテル」は、客室に「南京大虐殺」の史実を否定する書物を配置し国際的にも非難を浴びたことで知られる。このことからすれば、「アパ・グループ」が参政党を組織的財政的に援助しているであろうことは容易に推察しうる。ここ数年の「アパホテル」の新規建設・開業――しかも多くはいわゆる「一等地」――はすさまじい。この事実は、「アパ・グループ」が特別な政治的背景に支えられていることを推測させる。もちろん「アパホテル」の支援も、日本のブルジョアジーによる参政党支援の「氷山の一角」であろう。(なお、参議院議員選挙・東京選挙区で当選した〈さや〉は「田母神ガールズ」のメンバーなのだそうである。)
◇登場した〈橙(だいだい)シャツ隊〉
注目すべきは、参政党が選挙運動をはじめ街頭宣伝を担わせている部隊である。平日・休日を問わず出動するその数は相当のものである。比較的若い年齢層のメンバーたちが、全員でオレンジ色を配した上衣をまとい、活発に活動している。この「オレンジ」はじつは「橙」(だいだい)であり、「代々」を意味するものとされる。「代々」――これは「日本の歴史や伝統」を「代々」受け継ぐ、ということを含意し誇示しているである。「万世一系の天皇」をいただく「国体」を維持し、「代々」受け継ぐことを、彼らはその装束そのもので表している。彼らは、いわば〈菊の御紋〉を身に纏(まと)って、「一、二、参政党!」と呼号しているのだ。なんと徹底した〈日本ナショナリズム〉であることか!彼らを「橙シャツ隊」と呼んで差し支えあるまい。
この「橙シャツ隊」は、1920~30年代に跋扈(ばっこ)したムッソリーニのファシスト党の行動部隊=「黒シャツ隊」、少し遅れて発足したヒトラーのナチスの「褐色シャツ隊」と同様の社会的=政治的意味をもつものといえる。(「褐色シャツ隊」――当初は「突撃隊」(SA:エスアー)が、のちに「親衛隊」(SS:エスエス)が担う。両者は併存し・それぞれ独自の精強な軍隊を保有し戦場でも戦った。この部隊が、ムッソリーニの「黒シャツ隊」に擬(なぞら)えて「褐色シャツ隊」とも呼ばれた。)
ムッソリーニの「黒シャツ隊」も、ヒトラーの「褐色シャツ隊」も、ファシズム(ドイツではナチズム)を精神的心棒とした実力行動部隊であり、労働者階級の闘いを破壊・圧殺する行動部隊として形成されたのである。ムッソリーニやヒトラーは、この部隊によって労働組合やその他の労働者組織・左翼政党などを圧迫・破壊し、一切の反対運動を圧殺することを通じて「ファシズム(ナチズム)」と呼ばれる強権的な政治支配体制を打ち立て、金融ブルジョアジーの階級的意志を代弁し、その支持のもとで、英・仏・米などとの帝国主義戦争にうってでたのである。いままさに参政党・「橙色シャツ隊」はファシストやナチスが担った役割を買って出たものと言える。
かつての「黒シャツ隊」や「褐色シャツ隊」は、生活苦に陥れられた小ブルジョアやいわゆる「ルンペン・プロレタリア」・さらに未組織の労働者たちを主要な構成実体として形成されていた。彼らによって構成された「黒シャツ隊」および「褐色シャツ隊」を、組織された労働者の部隊(労働組合など)にぶち当て攻撃させたのが、ファシスト党やナチスであった。「橙シャツ隊」を構成する諸実体・その出身階層などはなお定かではないとは言え、参政党が生活苦にあえぐ〝庶民〟の味方ヅラをして、彼らをたぶらかして台頭しようとしていることからすれば、かつての「黒シャツ隊」や「褐色シャツ隊」と同様の諸実体を含む、とともに労働者階級の一部をもからめとって組織されつつあると言える。
◇〝死の苦悶〟にあえぐ現代帝国主義の危機の強権的突破策
「橙シャツ隊」が登場した今日の日本は、「黒シャツ隊」や「褐色シャツ隊」が猛威をふるった時代とは、もちろん異なる歴史的諸条件におかれている。
1920~30年代、先行する英・仏・米などの帝国主義諸国家〔「もてる国」〕にたいして、第一次大戦で敗北し零落・窮乏し「復讐」に燃えるドイツ帝国主義をはじめ、小帝国主義国家イタリア、さらに米欧諸国に遅れて急成長し、第一次世界大戦を通じて〝火事場泥棒〟的に台頭した日本帝国主義など〔「もたざる国」〕は、劣勢をくつがえすべく、帝国主義的勢力圏の再分割をめざす戦争を策した。帝国主義各国の支配階級=金融ブルジョアジーは、国内の帝国主義戦争に反対する諸勢力を根絶し、それぞれ独自のナショナリズムにもとづいて「挙国一致」体制を構築することに、全力を傾注したのである。その場合、最大の邪魔者は、スターリン主義的に歪曲されたとは言え、なお巨大な力をもっていたプロレタリア階級闘争(組織的にはコミンテルンおよびその各国支部)であった。まさにこの時、イタリアでは「ファッショ」=結束を唱える国家ファシスト党が登場し、ドイツでは「国家社会主義」を標榜するナチスが、登場した。日本では独・伊のような民兵的組織とは異なり、天皇制専制国家の直轄のもと、治安維持法とその実施にあたる特別高等警察が強化され、日本共産党をはじめとする左翼諸政党や労働運動の弾圧・破壊を進めた。イタリアではファシスト政権が、ドイツでは、ナチス政権が樹立され、日本では「5.15事件」「2.26事件」を通じて天皇制軍国主義専制体制が確立されたのであった。
もちろん今日においては、1930年代のヨーロッパのような労働運動および左翼運動の高揚は存在しない。一九九一年のソ連邦の崩壊を区切りとして、全世界の労働者階級の闘いは事実上死滅し、各国における革命的労働者=共産主義者の苦闘にもかかわらず、なお労働者階級闘争は微弱である。だが、それでもなお支配階級は労働者階級の覚醒に脅えているのである。
なぜならば、洋の東西を問わず現代帝国主義の危機はますます深まっているからである。何よりも、東西両帝国主義陣営の相互角逐に、いわゆる〝グローバルサウス〟が絡みあう現代世界において、東西の帝国主義各国は戦争遂行体制を構築することに突進している。トランプのアメリカが「国防総省」を「戦争省」に改称したのは、その端的な露出なのである。
二〇二二年二月に開始されたロシアによるウクライナへの軍事侵略、これに対してウクライナ・ゼレンスキー政権を支援し「ロシア制裁」にうってでた欧・米の帝国主義諸国家そのものにおける政権交代の連続、そしてイタリアやハンガリーをはじめとする極右政権の相次ぐ成立、各国における極右勢力の著しい台頭――これらの政治的危機はいうまでもなく、各国帝国主義の経済的危機を物質的基礎としている。
「グローバリズム」と言われる全世界的な規模での金融資本の経済的争闘戦は、アメリカ大統領トランプがしかけた〝関税戦争〟に象徴される〝世界経済戦争〟の様相を呈し、このもとで各国の金融資本は、労働者たちを徹底的に搾取することによって延命を図っている。
現代帝国主義のこのような累進する危機のもとで、労働者階級の貧窮化、所得・資産のいわゆる「格差」の拡大はますます進んでいる。いわゆる先進国においても、IT産業に従事する労働者と製造業その他に従事する労働者とでは雲泥の「格差」が生まれている。労働者たちは資本家どもによる搾取の強化・長時間の過酷な労働に追い込まれ心身を病むのみならず、全体として貧窮化し、生活苦は深まっている。このような情勢のもとで政府の金融政策の変更や気象条件やその他の――ウクライナ戦争の勃発など――諸条件の変動のもとで、ひとたび物価の高騰がもたらされれば、たちどころに生活難に陥る貧困層はますます増大しているのである。このことが、近年の米・欧各国帝国主義諸国家における政権交代の根底にある真実なのである。各国帝国主義権力者にとって、労働者階級をそれぞれに固有なナショナリズムのもとにからめとり、盤石の階級的支配体制を構築することこそが死活問題なのである。いや何よりも、労働者に軍服を着せ武器を持たせて戦争を遂行する体制を彼らがつくりだそうとしている以上、労働者たちの抵抗・反逆はなんとしても回避しなければならないのだ。
◇労働者階級は〝眠れる豚〟ではない。
彼らは、労働者の階級的自覚と団結を促す革命的プロレタリア党が力を蓄え、闘いを強化しつつあることに脅えている。革命的プロレタリア党の存在と前進に支えられて労働者階級はその逞しい力を発揮しはじめるのである。これは資本家階級にとっても、ロシア革命から学んだ「教訓」である。だからこそ、彼らは労働者階級の動静をたえず注視し、労働者階級の不安と苦しみが怒りとなって彼らに向かうことを未然に阻止し、労働者階級の闘いの高揚を未然に封殺し根絶やしにするために、傾注せざるをえない。これこそが彼らの階級的支配の維持・貫徹の大前提なのである。このことを示唆しているのが、消費税減税や生活支援金の給付という懐柔案の提示や、最低賃金の引き上げなどの諸動向である。
だが支配階級にとってもっとも核心的なことは、日本に固有なナショナリズム・天皇制を軸とする日本ナショナリズムを労働者たちに注入し、〈外なる敵〉(直接的には東側帝国主義グループに属する中国・ロシア・北朝鮮)に対する排外主義風潮を煽り立て〈挙国一致〉の強権的政治支配体制を構築することなのである。
◇登場した本格的な極右・ファシズム運動
まさにこのような日本帝国主義の危機突破の強硬策の貫徹の尖兵の役をかってでたのが、参政党=21世紀現代のファシズム運動なのである。戦後にも種々現れた極右諸団体、特に近年は〝雨後の竹の子〟のごとくあらわれた諸団体のほとんどはいわゆる泡沫にとどまった。
だが参政党は、ついに現れた本格的なファシスト団体であり、いまや様々な右翼諸団体の糾合・離合集散を通じて、急膨張しつつある。
彼らは、ファシスト党やナチスが遂行した労働諸団体や左翼的諸団体の破壊の手法に加え、現代のIT技術にのっかかった新たなテロの形態をも駆使しつつあることを、われわれは警戒すべきであろう。それは、まずは選挙戦で彼らが用いたSNS を通じたデマゴギーを大量に流布した宣伝戦、彼らと同類のファシスト的団体のNHK党・立花が用いたSNSを手段とした個人への執拗な攻撃(これによって兵庫県の元幹部が自殺に追い込まれた)、情報操作を通じた謀略的な個人・組織に対する攻撃などに彼らは打って出るに違いない。
労働組合の先頭にたって闘う仲間たち!
労働組合のない職場で不屈の闘いを推し進める仲間たち!
そしてさまざまな地域・分野で闘いを進める仲間たち!
鎌首をもたげる21世紀現代のファシズム運動と対決し、全戦線において、ファシズム運動粉砕!の闘いを構築しよう! 天皇制軍国主義専制体制の構築を許すな! 日本帝国主義の核武装・軍備増強反対! 外国人労働者の排斥反対! いっさいの排外主義反対! 資本による労働者の搾取の強化・労働強化に反対しよう! 物価つり上げによる新たな収奪を弾劾して闘おう! いっさいの議会主義に反対し、労働者階級の隊列を強化して闘おう!
東西の帝国主義グループによるウクライナ戦争反対! イスラエル軍によるガザ人民の虐殺と追放作戦を弾劾し、闘おう!
いっさいのナショナリズム反対! プロレタリア・インターナショナリズムに立脚し、労働者階級の団結固く闘おう!
二〇二五年九月一四日 椿原清孝