『コロナ危機の超克』を発刊 !!

11月10日、書店販売始めます!

プラズマ現代叢書2は、松代秀樹と椿原清孝が編著者です。

この本を出版するにあたって、読者に熱く呼びかける「はじめに」をお知らせします。

どうぞ出版をご期待ください。

 

 はじめに

 新型コロナウイルスの感染者は、全世界で四〇〇〇万人に達しようとし、それによる死者は一〇〇万人を遙かに上回っている。治療薬や、ワクチンの開発が進められているが、それはなお、明確な見通しが出ているわけでもない。世界最大の感染国・アメリカ、中国に続く巨大人口国・インドでの感染拡大はなお続き、再度の・より急速な感染の拡大にみまわれているヨーロッパ、そしてわが国でも感染の勢いはなお続いている。それだけではない。北半球では冬の到来とともに、インフルエンザの流行が追い打ちをかける懸念が高まっている。この先、長期にわたり世界の民衆は苦難を強いられるであろう。
 このような中で、「コロナ禍」という言葉がほとんど日常用語化している。だが、注意せよ!この語は、いわば自然現象としての新型コロナウイルス感染症のもたらす災いというような意味で用いられる場合が多く、コロナ危機の社会的意味を没却させる〝装置〟にすらなっていることに。しかも、コロナウイルスがもたらす災いというような意味での〝コロナ禍〟と、新型コロナウイルス感染症が蔓延しているさなか(進行中)といういみでの〝コロナ下〟とが混淆するような形で用いられてもいる。これは、かつての〝欲しがりません、勝つまでは〟という標語を想起させるような、人民大衆に忍従を求める風潮が醸成されていることの一表現であると言える。
 言うまでもなく〈コロナ危機との闘い〉は、「ウィルスの脅威」や「自然の猛威」との闘いにつきるわけではない。われわれは、七月に刊行した『コロナ危機との闘い』を中心として、コロナ危機そのものの政治経済学的分析を深め、その社会的思想的意味を問うてきた。そしてこの闘いにおいて同時に、日本反スターリン主義運動そのものを再創造することが問われていることを訴え続けてきた。
 本書『コロナ危機の超克』において、われわれはコロナ危機そのものの下向的分析を通じて明らかにしてきた〈現代社会の病理〉を見つめ、その超克を訴えるとともに、そのような闘いを可能とする主体的拠点はいかにあるべきかを問い、明らかにすることを課題とした。そのために執筆者たちじしんが、この課題に懸命にとりくむとともに、それを通じてまた、おのれ自身を現代社会変革の主体として鍛え上げてきたのである。
 首相としての在任期間の最長記録を達成した安倍が辞任し、九月一六日に菅内閣が成立した。痛苦なことに、この転換は日本の人民大衆の闘いによってもたらされたものではなかった。
 実際、菅政権は、悪行のかぎりを尽くした安倍政権の継承者として、安倍政権がつくりだした土壌のうえに、さらに悪行を積み重ねつつある。日本学術会議が推薦した学者たちのうち六名を選別して任命することを拒否したのは、ほんの手始めである。菅政権は、今や学術会議そのもののあり方を「見直す」と称して、学術会議を骨抜きし、それを翼賛団体に、〈学術報国会〉とでもいうべきものに換骨奪胎することに公然と着手したのである。日本型ネオ・ファシズム支配体制をさらに一層強化するために、彼らは差し障りとなるものはすべて力で圧服することを宣言したのである。
 このような安倍後継・菅政権の反人民的諸策動を、われわれは労働者階級の階級的団結の力をもって粉砕するために、闘おうではないか!野党や労働運動の既成指導部の日本国憲法に依拠した指導をのりこえ、この闘いに起ち上がろうとするすべての労働者・学生・知識人・市民の皆さんが、そのために本書を活かされんことを願う。

                           編著者
   二〇二〇年一〇月一二日

 

プラズマ現代叢書1『コロナ危機との闘い』とともに

プラズマ現代叢書2『コロナ危機の超克』をご一読ください。

f:id:tankyuka:20200709122246j:plain
f:id:tankyuka:20201018080054p:plain